グライダーの種類

初級滑空機(プライマリー)

   
戦前から戦後にかけて初等練習に使われた。複座ソアラーによる訓練が普通となった現代においては、懐古趣味の楽しみ以外使われることはない。
機首につけたゴム索(ゴムひもを束ねて綱状にしたもの)を綱引きのように人力で引き延ばし、十分に延びたところで尻尾の固定を解いてパチンコのように離陸させる。高度はあまりとれないので霧ヶ峰高原など丘の上から離陸させ直線飛行・旋回(S字蛇行)などの練習をする。ふもとに降りたら人力で出発点まで戻す。
練習生単独での操縦なので最初は浮き上がらない程度にして機体が傾かずまっすぐ滑走できるように練習する。その後少しずつ浮上高度を上げて着陸操作などを練習する。
初歩のうちは学校の校庭などでも練習できるため、かつては「文部省式」などの機体が作られ全国各地の学校体育でも訓練が行われた。

中級滑空機(セカンダリー)


プライマリーにナセル(胴体)を取り付け、機体強度も上げて、ウィンチや自動車による曳航離陸ができるようにしたもの。
高度が取れるので、プライマリーの次の段階として旋回練習などができる。
プライマリー同様、現代ではまず使われることはない。

上級滑空機(ソアラ―)

現代ではグライダーと言えばこれ。翼が細長く、上昇気流を利用した飛行(滑翔・ソアリング)に適した性能を持つ。
複座(2人乗り)・単座(1人乗り)、練習用から競技用高性能機まで幅広いバリエーションがある。
以下は一部の例(滑空比:性能の目安の一つ。高度に対して到達できる距離の比)

複座練習機「ASK13」(翼幅:16m 最良滑空比:28、構造 翼:木製羽布張り、胴体:鋼管骨組み・羽布張り)

複座練習機「ASK21」(翼幅:17m 最良滑空比:33.5、構造 翼・胴体:FRP製)

単座練習機「Ka-8」(翼幅:15m 最良滑空比:27、構造 翼:木製羽布張り、胴体:鋼管骨組み・羽布張り)

単座練習機「ASK23」(翼幅:15m 最良滑空比:34、構造 翼・胴体:FRP製)

高性能単座機「ディスカス」(翼幅:15m 最良滑空比:42、構造 翼・胴体:FRP製)

高性能複座機「デュオ・ディスカス」(翼幅:20m 最良滑空比:47、構造 翼・胴体:FRP製)

動力滑空機(モーターグライダー)

エンジンを備えたグライダーで、エンジンを停めるとグライダーと同じように滑空飛行できるが、グライダーよりも軽飛行機に近い運用をねらったものや、グライダーとしての性能を重視しエンジンは補助的(離陸時や緊急時)に使うものなどバリエーションがある。
エンジンのパワーにより自分で離陸できるもの(自力発航タイプ)、離陸は飛行機やウィンチに曳いてもらい上空で高度が低くなったときに再上昇できる程度のパワーを備えたもの(サステナータイプ)がある。グライダーとしての性能を重視するタイプでは、使わないときにエンジンやプロペラを胴体内に収納し空気抵抗を減らすようにしている。
また最近ではガソリンエンジンではなくバッテリーと電気モーターによるものも増えている。

軽飛行機型のモーターグライダー「スーパー・ディモナ」